【What's 株式会社TOKIUM】
「未来へつながる時を生む」を志として掲げ、主なサービスとして、請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」、経費精算クラウド「TOKIUM経費精算」、文書管理クラウド「TOKIUM電子帳簿保存」を提供しています。経費や請求書などの企業の支出を一元管理し、支出領域の課題を解決します。
創業:2012年6月 / 12年目、従業員数:約230名、累計調達額:51億円 / シリーズE調達時
※記載の内容は2024年4月時点のもの
スタートアップの壁 - TOKIUM編。
スタートアップが直面する4つの「壁」について、TOKIUMにお話を伺いました。
今回の後編記事では、これまでに動画でお届けした内容の総集編としてご覧ください。
<前編を動画でご覧になりたい方はこちら、記事でご覧になりたい方はこちら>
事業転換の壁
<出演者>西平 基志
筑波大学在学中の2012年に株式会社BearTail(現TOKIUM)を共同創業。2013年に家計簿アプリ「Dr.Wallet」とオペレーション入力システム、2015年には「TOKIUM経費精算」を開発。現在はCTOとして、開発業務や組織運営に従事。
事業のピボットという意思決定を正解にする考え方
西平さんは、もともとTOKIUM創業者である黒﨑さんとは大学時代の同級生だったものの、当時はお互いに顔を知っている程度だったとのこと。同じ学部にはエンジニアとして個人で仕事を受けている学生が多い中、自身でもなにか仕事を始めたいと考えていたところ、黒﨑さんから声をかけられたことで共同創業に至ります。
創業当初は、ECサイトで最安値で買い物ができるサービスを開発しましたが、うまくいきませんでした。この失敗を経て、家計簿サービス「Dr.Wallet」を開発。ところが、売り上げは期待ほど伸びず、資金も急速に減少しました。正確性を求めて人力で領収書の内容を入力する方法を採用しましたが、これにより原価が非常に高くなり、資金が逼迫したそうです。この状況でビジネス向けの経費精算サービスへの転換を決意しました。
変わらない想いとビジョン
消費者向けサービスからビジネス向けサービスへのピボットは簡単ではなかったものの、創業時から一貫して持っている想いは、お客様に任せてもらえるユーザー体験を提供することでした。「無駄な時間を削減する」という目標を掲げ、そのために何ができるかを常に考えていたそうです。
そのピボットに際して、創業メンバー以外の全員が入れ替わるという厳しい時期もありましたが、結果的には会社の志やバリューを明確にすることができたと振り返ります。その時期を乗り越えられたからこそ、西平さんは社員全員の方向性を一致させることが重要だと語ります。
さまざまな困難を乗り越えた当事者ならではの臨場感のあるエピソードは、ぜひ動画でご覧ください。
<「事業転換の壁」の動画はこちら >
PMFの壁
<出演者>堀地 良佑
大学卒業後、大手通信キャリアに入社。その後、PwCアドバイザリー、ベイカレントコンサルティングにて中期経営計画の策定、SCM改革等のPJに従事。2018年TOKIUM入社。
スタートアップのプロダクトが顧客に選ばれるための条件
堀地さんはもともとコンサルティング業界におり、転職活動において一番気が合ったTOKIUMの黒﨑社長と共に働く道を選択します。当初は未経験ながらCHROとしてのオファーを受けたそうですが、TOKIUMに関する理解を深めていくうちに、この会社には人事よりもファイナンスが必要だと気づき、何度かディスカッションを繰り返して正式にCFOとしての役割で入社しました。
入社直後は自分でも営業を経験し、プロダクトの改善点に着目。自らコンセプトを作り、プロダクトに落とし込むフローを検証することで、PMFの壁を乗り越えたそうです。
PMFのポイントは、トライ&エラーの数と大きさ。毎日違うものを試すくらいの極端な施策を打ち、サービスの中身も変えていきました。
マーケットの認識と戦略の課題
当時のTOKIUMは、マーケットの存在を認識していたものの、そこでの戦い方が明確ではありませんでした。自社が強みとしているものが、必ずしもお客様にとっても強みとして認識されているわけではなかったのです。唯一無二の特徴だと思っていた強みが、お客様からすると「それは何がいいの?」という状況。堀地さんは、この強みの自己認識とお客様の認識のギャップが最大の壁だったと語ります。
また、競合のプロダクトと比較すると、いくつかポイントで劣っていることが明らかでした。これはリソースやトラックレコードがないPMFを目指すスタートアップならありがちな状況です。そこで、TOKIUMはどこか一つでも突出して買ってもらう理由を作る必要があると考え、顧客のニーズを正確に把握し、それに応じた強みを打ち出す戦略を取ることで、顧客から選ばれるようになりました。
今後も競争にこだわり、他の仕事との掛け算で新しい価値を生み出す役割を果たしたいと意気込みを語る堀地さんについて、是非動画でご覧ください。
<「PMFの壁」の動画はこちら >
コロナの壁
<出演者>黒﨑 賢一
1991年生まれ。筑波大学在学中に家計簿アプリ「Dr.Wallet」の開発を始め、在学中の2012年に株式会社TOKIUMを共同創業。2021年末から2022年にかけて約35億円の資金調達を行い、法人の支出管理業務における課題解決に取り組む。今後も、人々の無駄な時間を減らし豊かな「時を生む」サービスの展開を目指す。
新たなプロダクトに全てを賭ける覚悟と団結感
2020年の緊急事態宣言により、経費精算の需要が激減。企業が経費を使わなくなり、受注が止まり、新卒社員をアサインする商談もなくなるほどの危機に直面したTOKIUM。黒﨑社長は、既存のお客様が解約してしまうのではないかという不安が高まる中で、顧客からのフィードバックをふまえて生き残りをかけたアクションを起こしました。
感染者数が少ない徳島県に新たな拠点を構える意思決定を1週間で進め、サービスを開発。それが新たなプロダクト「TOKIUMインボイス」へと繋がります。お客様のオフィスに一枚も請求書が届かない状態を実現するためのオペレーションを導入し、そのメッセージを世の中に広めました。
顧客の声を反映したプロダクト開発
既存顧客の声を聞き、具体的なニーズをヒアリングしながらプロダクトを開発。お客様に「時」を生み出すために、どこをTOKIUMが請け負えば良いかを考えました。サービスの開発過程では、開発、営業、カスタマーサクセスのメンバーと議論を重ね、サービスフロー図を作成。全員が一丸となって取り組んだと当時を振り返ります。
その過程で、のちに取締役となる松原さんが業務委託から正社員となり、全体を巻き込んでサービスを作り上げました。
動画では、サービスをグロースさせるための秘訣についても語っています。ぜひご覧ください。
<「コロナの壁」の動画はこちら >
未来の壁
<出演者>黒﨑 賢一
成功体験は過去の出来事。大きな挑戦のスタートラインへ
黒﨑社長は「この12年間を振り返ると、あっという間でした。常にここがスタートだと思っています」と語ります。これまでに成長を感じた瞬間や役割が変わったと感じる瞬間はいくつかあったそうで、当初はプロダクトやUI、機能にこだわっていたものの、事業転換に伴い営業や対人での交渉が重要な役割となり、組織が大きくなってきた現在では組織全体にとって良いかどうかという経営者視点が強くなっているそうです。
未来へつながる工夫と学び続ける姿勢
黒﨑社長いわく、未来へつながる時間を生むためには、「調べて、考えて、挑戦することが重要」とのこと。そのために、時には異業種からのインプットがヒントになることもあるそうです。
また、創業初期に有効だったことが現在では有効でないこともあります。成功体験が逆に害になることもあるとのことで、「知った気にならずに、ゼロベースで考え直し続けること、自分自身を変え続けることにこだわり続けたい」と語る黒﨑社長の想いを、ぜひ動画でご覧ください。
<「未来の壁」の動画はこちら >