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営業戦略の仮説検証を投資先とともに!タイムリープ『RURA』マーケティング・セールス支援事例
営業戦略の仮説検証を投資先とともに!タイムリープ『RURA』マーケティング・セールス支援事例

ジャフコは創業以来、世の中に必要とされる新事業の創造にコミットすることで、ステークホルダーの皆様とともに新しい時代を切り開いてきました。

今回は、2021年3月にシードラウンドでご出資させていただいた、遠隔接客ツール『RURA』を提供するタイムリープ株式会社へのご支援について、ビジネスディベロップメント部の山本惇志、投資部の清田怜が、実際の支援内容や、投資先企業との向き合い方についてお話します。


【プロフィール】
タイムリープ株式会社 代表取締役 望月 亮輔(もちづき・りょうすけ)
1988年生まれ。大学卒業後大手通信会社、動画メディアのベンチャー企業を経て、起業。事業売却を行い、以降スタートアップにて役員としてロボットメディアの編集長を務める。2019年に同社を退任してタイムリープを設立、現在に至る。


【What's タイムリープ株式会社】
タイムリープは、「最も大切なことに時間を使える世の中を実現する」をビジョンに掲げ、遠隔接客サービス「RURA」を提供しています。世界中の社会人が、年間約2,000時間を仕事に費やしています。何百年もの間、それが当たり前のように。私達はテクノロジーの力で社会構造を変えることで、人類を労働から解放し、みんながそれぞれ自分にとって一番大切なことに時間を使うという選択肢を持った世の中を実現していきたいと考えています。

※過去のインタビュー記事:https://www.jafco.co.jp/andjafco-post/2021/08/12/000154/

※TOKIOテラスで放送されたタイムリープの紹介動画:https://youtu.be/BpxnfXNByDk

支援のきっかけは起業「前」のイベント。以来、5年以上にわたって関係を継続


ーまず、遠隔接客サービス『RURA』について教えてください。

望月 「RURA」は、店頭に置かれたモニター越しに、離れた場所から接客できるシステムです。遠隔接客とはいえ実際のスタッフが対応するため、これまでの対面の接客と変わらない対応が可能です。

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『RURA』


ー続いて、タイムリープ社の起業背景についても教えてください。

望月 タイムリープは「最も大切なことに時間を使える世の中を実現する」をビジョンに掲げ、2019年6月に創業しました。現代は飽食の時代で食べるものには困らないはず。しかし、実際は働かないと食べていけない現状があります。私たちタイムリープは、テクノロジーやロボットが人間の労働を代わりに行うことで、もっと大切で重要なことに時間を使えるのではないかと考えています。

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タイムリープ 望月亮輔氏


ータイムリープ社とは創業前からやりとりがあったと伺っています。ジャフコと出会った最初のきっかけは何ですか?

望月 最初のきっかけは、タイムリープを創業する前のイベント登壇です。当時、そのイベントに投資担当の清田さんが参加されていました。そのときは少し話をする程度だったのですが、その後に清田さんからお声がけいただき定期的にお話するようになりました。

マーケティング・セールス支援についても、出資後に清田さんが投資先支援の山本さんをつないでくれて、そこから支援が始まりましたね。



良い意味で「想定外」。営業戦略の仮説立案から商談設定まで


ーその後実際に支援が始まります。最初は、どのような内容から始めたのでしょうか。

山本 そうですね。タイムリープ社の「RURA」は、遠隔接客ツールという特性上、お客様と対面でやりとりをされる業界であれば導入できる可能性があります。だからこそ、どんな業界、業種を初めのターゲットにするかを望月さんと話し合い、まずは仮説検証を進めようと決めました。

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ジャフコ ビジネスディベロップメント担当の山本惇志


具体的には、モノの販売かサービスの販売か、高価格商材か低価格商材か......など、接客タイプごとの相性を考えながら仮説を立て、それぞれに合致する企業を紹介しながら進めました。特に望月さんとは商談の前後で感想を共有し、そのなかで生まれたアイデアをもとにまた新しい仮説を立てて......というようにかなり深い部分まで支援させていただけたかなと思います。


望月 山本さんのキャッチアップ力には本当に驚かされました。確か、支援が始まってすぐの頃でしょうか。ある商談を予定していたのですが別件で緊急の用事が発生し、MTGに遅れたことがあったんですね。準備もままならない中、その席上で山本さんが私の代わりにRURAを詳しく説明していただいて。
まだあまり時間が過ぎていないにもかかわらず商談対応までしていただき、そのキャッチアップ力の高さには本当に驚かされましたね。ある種、安心感というか、RURAのことを理解してくださっているんだと思わされました。


山本 とっさのことだったので驚きはしましたが......(笑)。普段から望月さんと営業戦略を話し合ったり、数十件の商談に同席して提案のポイントを掴んでいたりしていたことが結果的に良かったのかなと思います。また、望月さんとはサービスの開発背景や将来的なビジョン、世界観も話しているんですね。
だからこそ、商談の場でもコストカットできるという機能的な特徴だけでなく、期待できる効果や目的のような「機能がもたらす価値」をジャフコが第三者的に伝えられたことも、大きな意味があったのではないでしょうか。


ーサービスの表面的な機能の理解だけでなく、その裏側のビジョンや世界観に共感していることは、重要な要素ですよね。

望月 はい、まさにそのとおりだと思います。それに山本さんが商談をつないでくれる際は事前に意図や目的を共有してくれるので、私たちのサービスを理解した上で対応してくれているのだろうと思いますね。


山本 私たちの支援は「つなぐこと」をミッションにしているため、最初の商談をどのようにつくるかを大切にしています。ただ、つなぐことが目的になっては本末転倒です。だからこそ起業家へのリスペクトを持ち、サービスを理解する。そして商談も丁寧にフォローすることを大切にしていますね。


ー実際に支援を受ける前と後で、ジャフコに対する「ギャップ」や「認識」に変化はありましたか。

望月 支援を受ける前に知り合いの起業家が「支援内容が手厚い」と言っており、そういう意味で期待はありました。が、正直なところケースバイケースだろうという印象でした。

ですが実際に始まってみると私たちが思っていた以上に上のレイヤーの方々とつないでいただいて、良い意味で「想定外のギャップ」がありましたね。



つないで終わり、じゃない。同じ目的を共有する「仲間」の一人として起業家への「リスペクト」を


ーこれまでの支援で、望月さんの印象に残っているエピソードはありますか?

望月 そうですね。以前おつなぎいただいた会社との商談で、先方とこちらの認識が合わず結果的にお見送りになったことがありました。その商談の後で山本さんと振り返りをしたのですが、その際の話しぶりや目線が同じ社内の人間のようで。

「話の流れがこうだから、次はあの業界を狙おう」、「説明の順序を入れ替えれば、より分かりやすくなる」など、同じ目的を共有する「仲間」の一人のように感じました。

山本 サービスによって、ときに畑違いの業界や、見込みが薄くても可能性を信じて商談をおつなぎする場合もあります。もちろん、望月さんと相談しながらではありますが、そうやって1つひとつの商談を進めながら「次はどうやって進めようか」という部分まで踏み込んでいきたいと思いますね。


ーまさに「つないで終わり」ではないと。投資部の清田さんと山本さんは投資先との関わり方について、どのような進め方をしていますか?

清田 以前は投資担当者が支援内容を主導して進めることもありました。もちろん、それほどまでに投資担当者が投資先に惚れ込んで、主体的に行動しているとも言えますが、今は投資担当者と投資先支援担当者がそれぞれにイニシアチブを持ちながら、協力体制をとっています。主体的にキャッチアップしてくれていることもあって、安心感がありますね。

その意味で、山本が積極的に望月さんと協力しながら進めているのは、良い意味でジャフコの投資先支援にとっても「1つの成功事例」になりうるのではないかと思います。

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ジャフコ 投資担当の清田


望月 清田さん、山本さんを始めとするジャフコの皆さんには私たち起業家を「尊重してくれている」印象があります。例えば、ミーティングの日程調整をする際も私たちの希望や状況を汲み取って無理のない日程を提示してくれますし、対応もスピーディです。私たち起業家が事業に集中できる環境をつくろうとしているのだという心遣いを感じますね。


清田 投資先支援はもちろん、ジャフコ全体で「投資先へのリスペクト」を掲げているのは関係するサービスが広まって欲しいという一点ではないでしょうか。だからこそ、起業家にしかできない仕事に集中できるように、僕らでできることがあればする。機能的な「支援をする」「される」という関係ではなく、人と人のつながりによって、社会が少しずつ良い方向に変わっていってほしいと思っていますね。



ジャフコが蒔いた種を、「RURA」で芽吹かせる。タイムリープとジャフコの新しい挑戦

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ーこれまでのジャフコのセールス・マーケティング支援を振り返ってみて、いかがでしょうか。

望月 そうですね。ジャフコさんは思ってもみなかった大企業と関係をつないでくれたり、営業戦略の仮説検証を一緒にしたりと、自分たちだけではできなかった領域まで支援をしていただきました。これからはジャフコさんが蒔いた「種」を私たちが芽吹かせ、未来の「RURA」をつくっていく番だと思っています。


山本 ありがとうございます。ただ、私たちは「やり切った」という感覚ではなく、むしろセールス・マーケティング支援でできる余地はまだまだ大きいと思っています。例えば、おつなぎする商談の確度をもっと高めたり、商談を担当される営業組織体制の構築だったり。セールス・マーケティングという文脈でクライアントのサービス成長に貢献できるよう、引き続き模索し続けたいと思いますね。


ー最後に、これから起業をされる方や資金調達先を考えている方に向けて一言メッセージをお聞かせください。

望月 まずは「仮説を立てること」が良いかもしれません。精度は一旦置いておくとして、一定期間はその仮説に向かって行動し検証をする。例えば、ある機能がユーザーニーズを満たすと仮説を立てたら、それを実際につくってみてユーザーの反応を確かめてみるなど。それを繰り返すうちに、目指す方向性やビジョンの達成プロセスが見えてくるのではないかと思います。

ただ、必ずしもこうすべきという正解はありません。だからこそ、私たちもプロダクトと市場に向き合いながら、成長し続けたいと思っています。