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大企業のDXパートナーとして売上拡大を支援。自らを最大限発揮できる事業で、社会的価値を創造する
大企業のDXパートナーとして売上拡大を支援。自らを最大限発揮できる事業で、社会的価値を創造する

起業を決めた背景や、事業が軌道に乗るまでの葛藤、事業を通じて実現したい想いを聞く「起業家の志」。
第28回は、株式会社ROUTE06(ルートシックス) 代表取締役の遠藤崇史氏に登場いただき、担当キャピタリスト坂田将吾からの視点と共に、
これからの事業の挑戦について話を伺いました。

【プロフィール】
株式会社ROUTE06 代表取締役 遠藤 崇史(えんどう・たかふみ)
東北大学大学院情報科学研究科を卒業後、株式会社日本政策投資銀行、株式会社ドリームインキュベータを経て、株式会社スマービーを創業、代表取締役CEOに就任。アパレル大手企業への同社のM&Aを経て、株式会社ストライプデパートメント取締役CPOCMOに就任。株式会社デライト・ベンチャーズにEIRとして参画後、株式会社ROUTE06を創業。

What's 株式会社ROUTE06
ROUTE06(ルートシックス)は、大手企業のビジネスモデル変革を支援するDXパートナーです。エンタープライズ・ソフトウェア基盤の提供とアジャイルでの事業化支援によって商取引のプラットフォーム化を実現し、新たな企業価値を生み出すことに貢献します。

Portfolio


大企業のパートナーとして、売上拡大のためのDXを支援

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ROUTE06の事業内容を教えてください。

遠藤 主に日本の伝統的な大企業に対するDX支援を行っています。DXと言っても様々な取り組みがありますが、当社が支援させていただいているのは新規事業や既存事業のDX。新しい売上をつくる、既存の取引を拡大する等、トップラインを伸ばすDXに特化しています。

特徴的なのは、オンラインマーケットプレイス等のシステムをSaaSのような形で提供する「プラットフォームサービス」と、社内のプロダクトマネージャーやエンジニアやデザイナーがチームを組んで支援する「プロフェッショナルサービス」の2本柱であること。APIプラットフォーム『Plain』によりシステム開発期間を大幅に短縮しつつ、ニーズに応じたシステム構築やデザインを一気通貫で行います。モックアップを製作しながらのご提案や、様々なAPIの活用、UXの向上といった部分まで柔軟に対応できるため、より短納期・低価格で質の高いサービスをご提供できる。そこがSIerやコンサルファームとの差別化ポイントであり、クライアントに評価いただいている点です。

ーこれまでにどんなプロジェクトを手がけてきましたか。

遠藤 例えば、株式会社そごう・西武様の新規事業として、『CHOOSEBASE SHIBUYA』というOMOストア(実店舗とECサイトの機能を兼ね備えたストア)の立ち上げを協業させていただきました。事業モデルや顧客層をどうするかといったコンセプト段階から携わらせていただき、実店舗の顧客体験のデジタル化、キャッシュレス化、店舗システムや業務フローの構築、ECサイトの構築等、多岐にわたる事業立ち上げをご支援しました。他にも小売・メーカー・商社等、様々な業種の企業様を支援させていただいています。

ー大企業のDX支援事業を展開しようと考えたきっかけ、ROUTE06創業の経緯を教えてください。

遠藤 私は山形県の田舎で生まれ育ったのですが、物心ついたときにはバブルが崩壊して日本経済が低迷し、地元の商店街が徐々に元気をなくしていく様子を目の当たりにしていました。そのせいか、いつしか「日本に貢献する仕事をしたい」「地方やベンチャー企業にお金がまわるような『富の再分配』の仕組みを作って、日本の未来につなげたい」と思うようになり、日本政策投資銀行やコンサルファームに就職。起業にも興味があったので、2014年には子ども服のEC企業を創業しました。中小の子ども服ブランドに売上の機会をつくり、育児中のママが買い物を楽しめる機会をつくることで、新しい経済圏を生み出したいという想いからです。その会社は大手アパレル企業に売却しましたが、また起業したい気持ちはずっとありました。

大企業のDX支援という事業構想を考え始めたのは45年前。銀行やコンサルファームに勤めていた頃から、大企業でのシステム開発に課題が多いことは常々感じていました。入力項目をひとつ追加するだけで数千万円かかったり、UIや機能の更新が何年も止まっている従来型のシステムを使い続けているせいで発想が制限されてしまっていたり...。そこで、EC事業で培ったシステム開発ノウハウを活かしてSIerの世界を変えるような事業を検討し始めたんです。当時はちょうど、大企業がスタートアップとのオープンイノベーションを推進し始めた時期。私たちのような事業は今後さらに必要とされ、社会に最大限貢献できる。そう確信し、2020年にROUTE06を創業しました。

ー銀行、コンサル、起業...と様々なご経験の中で、特に今の事業に活かされていると思うことはありますか。

遠藤 たくさんありますが、特にEC企業を立ち上げたときの経験は、大企業のDXを支援させていただく上で役立っていますね。EC事業というのはオペレーションが大変であるため急速に成長させにくい難しさがある反面、ブランドを開拓したり、商品を撮影したり、紹介記事を書いたり...という地道な仕事を丁寧に積み上げていけばいくほど着実に伸びる事業。クライアント先の新規事業責任者の方に対しても、最初の地道な継続が必ず結果につながるという話や、立ち上げ期のチームマネジメントの話等、システム以外の論点でもディスカッションできるのは強みだと思います。


大企業のコンサル経験を持つキャピタリストへの信頼

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遠藤氏とジャフコ担当キャピタリストの坂田将吾(左)

20226月にシリーズAラウンドで総額15億円の資金調達を実施しました。今回の資金調達を検討した背景からお聞かせください。

遠藤 昨年末に2期目を終え、将来の事業成長につながるような投資を積極的にやっていこうという話になったのがきっかけです。大企業からより信頼をいただくためにはプラットフォームのセキュリティ強化や機能拡充が欠かせませんし、会社自体のPRやブランディングも重要。ジャフコの井坂省三さんとは創業時からたまにお話しさせていただいていたのですが、今回の資金調達を検討し始めた際に、株主のデライト・ベンチャーズのご担当者から改めてジャフコさんを紹介いただきました。

坂田 私は投資検討のタイミングで初めて遠藤社長にお会いしました。ジャフコに入社する前はコンサルファームで大企業の新規事業立ち上げや事業戦略立案を担当していたので、まさにROUTE06が取り組まれている領域の課題は肌で感じていました。ROUTE06の事業内容はユニークでありながら、強みが一見わかりにくい側面もあるのですが、初回の面談で社長から非常にロジカルにご説明いただき、事業の可能性はその時点でほぼ確信できたと言って良いくらいです。実際、その後1か月ほどで社内稟議を通し、トータル2か月半で取りまとめるというスピード感でした。

ROUTE06の事業に可能性を感じた理由は?

坂田 日本の大企業はまだまだDXの余地があり、その中でもROUTE06が手がける顧客接点の部分のDXは、これまでスタートアップがあまり取り組んでこなかった領域。市場規模や改善余地の大きさは重要なポイントでした。前職での経験から、大企業のDX領域は投資先候補を探す上で注目していた領域だったので、自分の興味関心とも大変マッチしていました。

投資検討にあたって同社の既存のお取引先にヒアリングをしたところ、「圧倒的にコミットしてくれて信頼できる」という声を多く聞き、大企業の事業立ち上げに0から100まで伴走できる強みにも大きな可能性を感じました。0から11から10をやっている会社はあると思いますが、事業立ち上げメンバーの一員としてここまで深く入り込める会社は非常に限られてきます。また、遠藤社長は大企業の論理もスタートアップのノウハウもご存じの実績豊富な方。その信頼感もポイントのひとつです。

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ー遠藤様がジャフコを選んだ理由もお聞かせいただけますか。

遠藤 日本最大のVCとしての豊富な実績と、そこで培われた知見やネットワーク、投資額の大きさには絶対的な信頼感がありました。今後の追加投資も見据えて長期的なパートナーとして参画いただけるのは大変ありがたいです。王道のVCでありながら、投資後のBD(ビジネスディベロップメント)支援はご担当者一人ひとりが深くコミットして手厚くサポートしてくださるというお話も聞き、その点も魅力的でした。

また、坂田さんは一見クールですが熱いパッションを秘めている方。大企業のコンサル経験をお持ちなので、私たちの考えや言いたいことをすぐに理解してくれます。事業のわかりやすさや流行りに乗っているかどうかではなく、マクロのトレンドや真の需要をきちんと見抜いて評価いただけるキャピタリストの方と一緒に会社を大きくしたいと考えていたので、坂田さんに参画いただけて非常に嬉しく思っています。


大企業のデジタル系リーダーが育つ機会を提供する

ー投資後の支援内容や、今後期待する支援について教えてください。

遠藤 当社の事業は大企業向けなので、社内の内部統制をより強化していく必要があり、まずは財務面や会計面のアドバイスをいただいています。改善点を率直にご指摘いただけるのは非常にありがたいですね。今後は顧客やビジネスパートナーのご紹介もお願いできたらと思っています。ここ数年で、大企業側もVCの紹介であればより興味を持ってくれるようになってきたので、VCの皆さんと連携しながらビジネスディベロップメントを進めていきたいです。

坂田 確かに、つながりのある大企業が当社のポートフォリオを見て「この会社に興味があるんだけど」と連絡をくださるケースも増えてきていますね。単に会社を紹介するのではなく、ROUTE06さんと一緒にビジネスを創っていく形で連携できればと思っています。

ー資金調達を経て、今後どう事業を拡大していきますか。

遠藤 まずは自社プロダクトであるプラットフォーム『Plain』の開発強化。より幅広い業界や機能に対応できるプロダクトにするための人材採用や組織づくりに投資します。ビジネスパートナーと連携し、サービス提供範囲の拡大にも力を入れていきたいです。

長期的なビジョンで言うと、社内のプロダクトマネージャー・エンジニア・デザイナーを国内外問わず増員して、デジタルのものづくりができる社員を数千人・数万人抱える会社にしたいと考えています。住んでいる場所にかかわらず様々な大企業の事業立ち上げに携われる機会を提供するのは、とても意義があること。それは自社の社員の成長だけでなく、大企業側のご担当者の成長機会にもつながります。大規模なプロジェクトを一緒に推進して、成功すればその方はさらに裁量のある立場に昇格するかもしれない。大企業で活躍するデジタル系の新しいリーダーを育成することは、当社が追求すべき真の社会的価値なのではないかと思っています。

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自社の成長は、世の中にとって価値がある。そう信じられるか

ー遠藤社長が今後成し遂げたいこと、起業家としての志を教えてください。

遠藤 会社を経営していて常に意識しているのは、会社が大きくなることが「世の中にとって価値がある」と信じられる状態かどうか。短期的な収益に価値があると信じられればそれを突き詰めれば良いと思いますが、私の場合、自社やクライアントの事業・社員が成長することで世の中がより良くなる、と堂々と言える状態にしておくことを重視しています。ROUTE06という会社の面白いところは、DXを通じてあらゆる産業のビジネスに携わることができ、さらに自社でも様々な形態の事業を抱える可能性を秘めているところ。世の中への価値創出につながる事業かどうかを判断軸にしながら、今後も挑戦を続けていきます。

ー最後に、起業家を目指す方に向けてメッセージをお願いします。

遠藤 自分が最も集中できて、最もパフォーマンスを発揮できる事業テーマに取り組むことが大切だと思います。スキル的に「できる」ではなく、自分がやるからこそ意味のある、自分にとってベストな事業。そのためには、自分の個性や志、これまでのキャリアで得たもの、周囲からどう見られているかなどを分析することが重要です。私もこれまで様々な経験をして、自分を見つめ直してきたからこそ、自分を最大限発揮できると思える今の事業を選択することができています。

その選択さえ正しければ、起業して苦戦してもだいたい何とかなります。私自身の経験だけでなく、周りの起業家を見ていても、愚直に頑張っている方はどんな形であれ必ずステップアップしているんです。たとえ起業で思うような結果を出せなくても、より自分を活かせるキャリアで活躍していたり。起業家を助けてくれる人たちはVCをはじめ昔よりも格段に増えているので、周囲のサポートを得ながら、ぜひ思いきり挑戦してください。

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担当者:坂田将吾 からのコメント

VE_sakata.jpg近年の大企業は、基盤システムをはじめとするいわゆる「守り」の領域のDXはかなり進んでおり、優秀なプレーヤーも多数出てきています。しかし、大企業の真のDXは、「売上をつくる」「価値を創造する」といった「攻め」のDXを進めてこそ実現するもの。オープンイノベーションに対する大企業の意識はここ数年で大きく変わってきており、スタートアップが参入するチャンスは増えていますが、「攻め」のDXを手がけるプレーヤーはまだ限られています。ROUTE06はまさにその領域に特化した企業。さらに遠藤社長は、銀行やコンサルファームで事業支援に従事し、1社目に創業したスタートアップも成功させている経験豊富な起業家です。同社がSI業界の常識を変え、大企業をさらに成長させていく立役者になると信じています。