「起業家のいちばん近くに」をキーワードに、多くのスタートアップと志をともにしながら投資や事業支援を行ってきたジャフコ。志の高い起業家とともに新しい産業を創造していく。その取り組みの一環として、昨年度番組提供をしていた「TOKIO テラス」について今年度はパートナーとして番組協力を開始しました。
『TOKIOテラス』は、株式会社TOKIO副社長の国分太一さんが起業家と膝を突き合わせ、スタートアップの苦悩や戦略を聞き出していく対談番組。ジャフコはなぜ、どんな想いで、自社初の番組協力に取り組むのか。執行役員の松本季子と、本プロジェクトのきっかけを作ったパートナーの高原瑞紀に話を聞きました。
【プロフィール】
ジャフコ グループ株式会社 執行役員 松本季子(まつもと・すえこ)
1990年に入社後、主にファンドのマーケティング企画・設立業務、レポーティングを担当。2017年に執行役員(ファンド運用担当、管理担当)に就任。2020年10月の当社のリブランディング以降は、広報・ブランディング、サステナビリティプロジェクトを担当。
ジャフコ グループ株式会社 パートナー 高原瑞紀(たかはら・みずき)
同志社大学法学部卒業後、2010年入社。中部支社(現西日本支社)を経て、2018年3月に関西支社長就任。その後2021年9月より西日本支社長(現任)、2022年6月よりパートナー。入社後一貫して東京以外のスタートアップ投資・成長支援に従事。IPO・M&AでのEXITの実績を持つ他、ファンドレイズ業務の経験も有する。一般社団法人日本スタートアップ支援協会、大阪市スタートアップ企業支援プログラムなど、各地の起業家を支援する活動を幅広く行っている。
日本のスタートアップ業界全体の活性化を目指す
-まず『TOKIOテラス』はどんな番組なのか教えていただけますか。
高原 2021年4月に関西でスタートした経済ドキュメンタリー番組です。MBS(毎日放送)さんでは以前からスタートアップの起業家にスポットライトを当てた番組を作りたいと考えていたようで、ちょうど同じタイミングで株式会社TOKIOを設立することになったTOKIOさんにオファーをしたとのことでした。
松本 MCを務める国分さんは、株式会社TOKIOの副社長であり、まさにスタートアップの起業家のお一人。新しいことへの関心が非常に高い方と伺っています。そんな国分さんが起業家の取り組みや想いを聞き出していく対談形式の番組で、1時間枠で2社、起業家の人となり、起業の経緯、事業展開など、起業家が伝えたいことが、国分さんの絶妙な突っ込みも交えてしっかりと伝わる内容となっています。
-ジャフコがなぜ番組に協賛することになったのか。
高原 私は関西在住で『TOKIOテラス』をよく観ていて、起業家をクローズアップした興味深い番組だなと思っていました。最初は自分が担当している投資先企業を出演させてもらえたらと思い、知人を通じて番組関係者の方を紹介してもらったのですが、そこでご提案いただいたのがジャフコからの協賛のお話でした。番組側としては、VCにスポンサーとして入ってほしいという想いがずっとあったようです。
ご担当者から『スタートアップを応援する番組にVCが協賛する、その取り組み自体にとても意義がある。老舗で国内最大のVCであるジャフコが先陣を切ってそうした施策に取り組むことで、日本のスタートアップシーンはより一層活性化する』とまっすぐに伝えてくださり、そのお話に共感した私はまず松本に相談してみることにしました。
-テレビ番組に協賛した事例は過去にもありますか。
高原 番組出演等はありますが、協賛は初めて。当社としても新しい挑戦になるので、玉砕覚悟で松本に相談したのですが、意外とポジティブな反応が返ってきて驚きました。
松本 当社に対して、テレビ番組の出演依頼を頂く機会は時々ありますが、当社が描くイメージに合う内容で、継続的に関われる機会は、そうあるものではありません。とはいえ、自社でイメージに合う番組を企画するというのは現実的には難しい。そうしたなかで、高原から『TOKIOテラス』の話を聞き、試しにTverで視聴してみたところ、とてもいい番組だなと、率直に感じました。スタートアップの紹介番組として非常によく出来ていますし、一般の視聴者の目線でみても、幅広い層が楽しめるドキュメンタリーだと思いました。
当社は2020年から「起業家のいちばん近くに」というブランドメッセージを発信しています。このメッセージを体現する意味でも、VCとして番組を支援し、より多くの方に番組とスタートアップを知ってもらうことが業界を盛り上げることにも繋がると感じています。関西地区限定の月1回の深夜番組という点はありましたが、Tverでも配信されるので、全国の人にも見てもらえるかもしれない。ジャフコにおいて初めての取り組みとして、恰好の番組に巡り合えたこのチャンスを活かし、パートナーとして関わらせて頂くことにしました。
-株式会社TOKIO副社長国分さんがどのように対談を展開していくかも、番組の見どころのひとつですよね。
高原 収録現場に何度かお邪魔しましたが、収録時間は、実際の放送の倍にあたる1社あたり1時間で、毎回かなり濃い対談内容でした。もちろんある程度のプロットはあるものの、話の流れで国分さんが別の部分を深掘りしたりすることも珍しくありません。スタジオの配置換え中や収録後の雑談でも、本番中と同じトーンで熱心に質問していらっしゃって、国分さんのアンテナの高さや興味関心の強さが「生きたコンテンツ」を作り上げているんだなと感銘を受けました。
日本の未来を創るスタートアップにスポットライトを
-ジャフコ投資先企業が取り上げられた放送後の反響はいかがでしたか。
高原 当初、我々としては「番組を観た人がその企業のお客さんになる」といった直接的な効果をイメージしていたのですが、実際はそれよりも「社員の家族等、近しい立場のステークホルダーが喜んだ」「社内のエンゲージメントに役立った」という声を多くいただきました。また、「メディアリレーションのいいきっかけになった」という副次的効果も。一度テレビに取り上げられた実績があると次の取材にも繋がりやすく、中長期的に見てメリットが大きいと感じていただけているようです。
松本 『TOKIOテラス』をパートナーとしてサポートしていることについては、社内でも、周囲の方々からも好意的に受け止めてられていると思います。実は放送前、社内ではブランディングにかけるべき費用と、そこから何が得られるのか、という費用対効果について、けっこう議論がありました。地区限定の深夜番組を通じて、起業家に対して、当社が伝えたいメッセージがどれだけ伝わるものなのか、という点です。
ただ、やってみてわかったのは、高原が話しているように、スタートアップの方に番組出演自体が非常に喜ばれているということ。出演企業の方から、出演後の周囲の方々からの反応が大きいことをお聞きして、メディアが多様化するなかでも、テレビにしか実現できない良さというものを再認識しました。世代や職業や立場を超えて、スタートアップに馴染みがない人にも興味を持ってもらえるのは、多様な層に訴求するコンテンツの制作力、経験の蓄積がある、テレビならではだろうと思っています。番組で、どのスタートアップに出演してもらうか、当社が決められるものではないのですが、当社のキャピタリストからは、「自分の担当企業もぜひ取り上げてほしい」という要望がいくつも寄せられています。投資先の経営に直接的な効果をもたらすものでなくとも、これもスタートアップに求められる支援の一つの形だと実感できました。
高原 起業家にフォーカスするというコンセプトや国分さんとの化学反応等を含め、MBS内でも評価の高い番組だと伺っています。
-ジャフコ創業以来初となるテレビCMも打ちました。
松本 はい。当社はあくまでも起業家の黒子という立場を大切にしているので、当社自身をアピールするCM構成にはしませんでした。投資先企業をフィーチャーする形にこだわり、起業家の方と投資担当者の対談という形式をとり、3社の投資先にご出演いただきました。30秒の間に、起業家が発信したいことをできるだけ盛り込むことをいちばんに考え、向かい合っている投資担当者は、起業家の言葉にうなずく程度。番組、CMともに、そのスタンスを徹底できたことは非常によかったと感じています。
また、4月以降は、CMスポンサーとしてではなく、番組制作のパートナーとして引き続き関わらせて頂くことにしました。当社自身にではなく、スタートアップに光を当てる番組を、製作のアイディアだしなど側面支援することで、スタートアップ業界全体を盛り上げていけたらと考えています。
-今後『TOKIOテラス』を通じて実現していきたいことを教えてください。
高原 番組を通じて、VCや起業に関心を持ってくださる方が増えることを期待しています。コンテンツ作りへの熱量をすごく感じる番組なので観ていて面白いですし、「こういう会社が次の新しい産業を作ろうとしているんだ」という発見にもなると思います。また、シンプルに、もっと多くの方に番組を観てほしいですね。
松本 4月から三好が新社長に就任し、投資プレイヤーとして第一線を走りながら、経営トップを担うという新たなチャレンジがスタートしています。当社にはスタートアップを支える様々な施策がありますが、こうした投資先企業の支援だけではなく、スタートアップ業界を盛り上げていく『TOKIOテラス』のサポートも新たなチャレンジです。これからもより多くの方々を巻き込みながらVCとして進化していきたいと考えています。今後もジャフコにぜひご期待ください。