JAFCOの投資とは

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ユニファの実体験から紐解く! スタートアップのマーケティング・ブランディング戦略に 必要なこと
ユニファの実体験から紐解く! スタートアップのマーケティング・ブランディング戦略に 必要なこと

ジャフコは2021年11月より、一部上場企業からスタートアップまで100社以上の持続的なグロースをデータとファクトに基づいた深い顧客インサイトの理解により支援している株式会社Bloom&Co.(ブルーム・アンド・カンパニー)と提携し、スタートアップ向けマーケティング支援プログラム『RAPID GROWTH PROGRAM』の提供を開始致します。

スタートアップの課題であるグロースに必要な「資金調達」と、調達資金の投資対効果を最大化する「マーケティング戦略」。この2本柱でスタートアップの成長速度・成長確度・企業価値を最大限に高める支援をしていきます。

今回は、株式会社Bloom&Co. 代表取締役の彌野泰弘氏、ジャフコ グループ株式会社のパートナーの佐藤直樹氏そしてジャフコ投資先でありBloom&Co.支援先であるユニファ株式会社 代表取締役CEOの土岐泰之氏、取締役CFOの星直人氏を迎え、スタートアップにおけるマーケティング・ブランディング戦略について事例を交えながらお話しいただきました。



【プロフィール】
ユニファ株式会社 代表取締役CEO 土岐 泰之(とき・やすゆき)
2003年住友商事に入社し、リテール・ネット領域におけるスタートアップへの投資や事業開発支援に従事。その後、外資系戦略コンサルティングファームのローランド・ベルガー、日系コンサルティングファームのデロイトトーマツにて、経営戦略・組織戦略の策定や実行支援に関与。2013年5月にユニファ株式会社を設立。全世界から1万社以上が参加した第一回スタートアップ・ワールドカップ(2017年)で初代優勝。九州大学卒。


ユニファ株式会社 取締役CFO 星 直人(ほし・なおと)
2007年に外資系投資銀行のモルガン・スタンレー証券に新卒入社。投資銀行本部にて、国内の大型経営統合案件や1兆円超のクロスボーダーM&A案件を主導。アクティビストプラクティスチームにも所属し、複数の株主対応案件も担当。東京・NYオフィスで約12年間勤務した後、2019年にユニファ株式会社の取締役CFOとして参画。財務戦略、M&A・アライアンス戦略を含む各種戦略的施策を主導。早稲田大学・同大学院卒。


株式会社Bloom&Co. 代表取締役 彌野 泰弘(やの・やすひろ)
米国大学卒業。P&Gにてブランドマーケティングを、日本・シンガポール・スイスなどで約9年間に渡って担当。日本・シンガポール・スイスにて、多国籍なチームメンバーと共にマーケティング戦略の策定、および実行の指揮を取る。2012年にDeNAに入社。執行役員 マーケティング本部 本部長として、モバイルゲーム事業、EC事業、新規事業、スポーツ事業やコーポレートブランディングの刷新も含め、全社のマーケティング活動を統括。2015年4月に株式会社Bloom&Co.を設立。


ジャフコ グループ株式会社 パートナー 佐藤直樹(さとう・なおき)
1992年日本合同ファイナンス㈱(現ジャフコ グループ㈱)入社以来一貫して前線での投資EXIT活動に従事。スタートアップ投資からバイアウト型投資まで多種多様な案件に関わり、IPOのみならず、大企業との資本提携、M&Aを数多く手掛け、ジャフコのベンチャーキャピタルとしての有り様をブラッシュアップしてきた。2018年パートナー就任。現在西日本エリアの投資管掌と、投資先のバリューアップ専門部隊を統括。2018年11月ユニファ㈱社外取締役就任。

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Bloom&Co. ×ジャフコの強みをプログラム化した『RAPID GROWTH PROGRAM』

―最初に、2社の提携により『RAPID GROWTH PROGRAM』を提供することになった経緯からお伺いできますか。

佐藤 Bloom&Co.(以下:Bloom)さんとジャフコが提携したのは約1年前。近年、VC業界は競争環境が激化しており、資金以外のバリューアップ施策がますます重要になってきています。弊社は営業支援や採用支援、管理体制の構築等においては相応の実績がありますが、マーケティング・ブランディング支援に関してはこれからという段階でした。そんな中、スタートアップ支援のマーケティング支援を行なっていたBloomの彌野さんと知り合い、提携のお話に至りました。


彌野 まさにコロナ禍に突入した昨年の4〜5月でしたよね。先行きの見えない状況下で、資金が尽きて倒産するスタートアップが増えていくのではという議論もありました。ジャフコさんは昨今のスタートアップブームより何十年も前から支援を継続されていて、スタートアップの志を具現化することにパッションを持たれている。そんなジャフコさんと一緒に、このコロナ時代だからこそスタートアップを支援するという意思表示をしたいと考え、提携を開始しました。


佐藤 この1年間、弊社の投資先スタートアップと彌野さんとでマーケティング・ブランディングに関する壁打ちを毎週していたのですが、この取り組みは投資先以外の企業や他のVCにも展開していけるのでは?という話が出まして。そこから具体的なプログラム内容を固めていったという流れです。


―『RAPID GROWTH PROGRAM』はどのような支援プログラムなのでしょうか。

彌野 スタートアップの課題は常に「グロース」です。グロースしないスタートアップはそもそもスタートアップとは呼べません。そのグロースに必要なことは大きく2つあると考えていて、「資金調達」とその資金を活かすための「マーケティング戦略」。国内最大のVCであるジャフコさんのノウハウと、スタートアップも含めて様々な業界の100社以上をお手伝いしてきた我々のマーケティング戦略の策定ノウハウを組み合わせて、スタートアップのグロースに必要な両輪をまとめて提供するというのが『RAPID GROWTH PROGRAM』の特徴です。

資金調達をする際、投資家に事業計画を説明するためのエクイティ・ストーリーが重要になってきます。スタートアップは情熱がないと立ち上がりませんが、情熱だけでは立ち上がらないし伸びません。情熱や意見だけでなく「ファクト」と「データ」に基づいた顧客のインサイトをきちんと入れてエクイティ・ストーリーを作成することで、投資家への信頼性や説得力が高まることはもちろん、経営陣の無駄な議論もなくなる。結果、資金調達がスピーディかつ適切に決まります。

また、資金調達後には「投資対効果」という考え方も重要。せっかく億単位の調達をしても、感覚的なマーケティングを行って資金が数週間の無風CMで溶ける...というケースも散見されます。一方、エクイティ・ストーリー内のファクトとデータによる顧客インサイト起点での戦略に基づいたマーケティング活動をすれば、2億円、3億円をマーケティングに充てたら数倍になって還ってくるような投資対効果を得ることが可能。100%とは言えませんが、我々の経験上、70〜80%はマーケティング投資を最大化できると思います。

ファクトとデータのあるエクイティ・ストーリーでスピーディに資金調達し、顧客インサイトの理解に基づいた投資対効果の高いマーケティング戦略と施策で、資金調達した資金のリターンを最大化する。それらの両輪を支援するのが『RAPID GROWTH PROGRAM』です。

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ユニファが抱えていたマーケティング・ブランディング上の課題

―では、スタートアップにおけるマーケティング・ブランディング戦略の事例についてお伺いしていきます。まず、ユニファ様がBloom社の支援を受けることになった経緯をお聞かせください。

 私のモルガン・スタンレー証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)時代の後輩が、障害者支援スタートアップの株式会社LITALICOでCFOをしていたのですが、LITALICOさんのブランディングが非常に素敵なので彼に話を聞いたんです。するとBloomの彌野さんにお手伝いいただいたということだったので、ご紹介いただいたのが最初の接点です。


―当時、ユニファ様ではどのような課題を抱えていたのでしょうか。

土岐 我々は『ルクミー』というブランドで保育施設向けのICTサービスを提供しており、弊社のサービスを導入した『スマート保育園・スマート幼稚園・スマートこども園』の推進・展開を行っています。当時は『キッズリー』というサービスを買収した後でもありました。一方で、会社名は『ユニファ』であり、「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創り出す」という大きなパーパスを抱えています。要は、いろいろな言葉が発散している状態だったんです。

どの課題をどのソリューションでどう解決してどう社会変革するか。それに対して私は当然強い想いを持っていますし、星や主要メンバーも様々な想いを持っています。それらを自分たちのエゴではなくお客様から見ても「いいね」という形に一本化していく。つまり、売上やマーケティングや採用に繋がる形に落とし込んでいくところが全くできていない状況でした。Bloomさんにはその部分からお手伝いいただき、メッセージの再統合・再整備・統廃合を進めていきました。


 
私はCFO兼コーポレート本部の責任者という立場なのですが、特に課題意識を持っていたのが「採用力」。ユニファに入社した2019年当時は今と比べて採用力が弱く、応募者数も内定承諾率も十分とは言えない状況でした。ただ、当時は「コーポレートブランディングに何かしら問題がある」とは感じていたものの、問題を因数分解して考えるまでには至っていませんでした。会社の魅力をどうマーケットに伝えれば採用力に繋がるのか、その点に最も課題を感じていましたね。


―彌野様から見て、当時のユニファ様の状況はどのような印象でしたか。

彌野 事業に対して情熱的な土岐さんと、会社を良くすることに情熱的な星さん。二人とも熱いけど熱さが違うというか、意見の角度が少しずつ違うという印象でした。また、先ほど土岐さんも仰っていましたが、ユニファさんは事業も複数あるし、使う人もシングルターゲットではなく複数いたりする。その中で、誰に向けてものを作るのか、誰に何を伝えるのか、優先順位の整理が難しい印象でしたね。


―それらの課題に対して、具体的にどんな取り組みをされたのですか。

彌野 大きく3つあります。1つ目は、今申し上げた優先順位の整理にかなり時間をかけました。それによってサービス導入の意思決定者が誰で、ターゲットが誰で、セカンダリターゲットが誰なのかという部分を明確化できました。

2つ目は、全社レベルでの顧客理解。事業を作る、サービスを作る、プロモーションして効果を上げるとなった時、会社の全員が土岐さんを超えるくらいの顧客理解をする必要があります。まずは、誰がサービスの情報を持ってきて、どのポイントが導入の決め手になって、意思決定者は誰なのか、ロジックを整理する。次にインタビュー調査をしてお客様の思考回路を全て理解する。思考回路が理解できれば判断軸が理解でき、プロダクトやプロモーションで何をすべきかがクリアになるので、サービスごとにすべきことを逆引きでクリアにしていきました。

3つ目は、会社として、またはサービスとして提供すべき独自価値の整理。メンバーの想いがそれぞれ違って、顧客理解が違えば、自社または自社サービスが何を約束するブランドで他社サービスと何が違うのかも意見が食い違います。ですので、顧客理解を通じて「お客様はこう言っている」「お客様はこれを求めている」「だからこの独自価値を提供すべき」という整理を、コーポレートレベルとサービスレベルで進めていきました。

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そのブランディングに「顧客視点」はあるか?

―土岐様・星様は、彌野様とともにマーケティング・ブランディング戦略を見直してみてどんな気づきがありましたか。

 コーポレートブランディングとサービスブランディングはともすると混同しがちで、あれもやろう、これもやろうと思ってしまうのですが、「目的は絞ってシンプルにすべき」という彌野さんの言葉は非常に学びになりました。未上場企業にとってコーポレートブランディングの目的は主に「採用」なので、弊社の経営課題でもあった採用力強化という点に絞る。サービスブランディングの目的は事業を伸ばすところに絞る。そうやって整理できたのが大きかったと思います。


土岐 
ブランディングというものは抽象的になりがちで、そのまま進めると想いもズレていくし最終的に実行にも至りません。彌野さんからは、ファクトやロジックに想いをまぶしていくというハイブリッドな「型」のようなものを学ばせていただきました。例えば、担当者にマトリクスを渡して「これを埋めてきて」と言えば担当者も埋められて、それを叩き台に議論して決めていく...ということができるようになります。そうやって1個1個きちんと潰し込んでいき、私もそれを持って会社をひとつにしていく。そんな進め方ができているのは彌野さんのお力添えがあってこそです。


彌野 起業家の想いを全部書き出して絵や動画にして、ブランディングできました!というケースは多々あります。起業家にとっては、自分の理想がカッコよく形になるので気持ちいいんですが、実は顧客視点が抜けているケースがものすごく多いんです。事業というものは、会社が考える理想的な世界とお客様のニーズの接続点を導き出して、そこをプロダクトにしてプロモーションしていかなければなりません。そこをユニファさんと一緒に進めていったという感じです。


佐藤 彌野さんの壁打ちは、自社の提供価値、つまりバリュープロポジションは何かを整理しているんだと思うのですが、これってキャピタリストが投資先や投資候補先に常に確認していることと実は同じなんですよね。


彌野  そうなんです。起業家の志と投資家の視点をファクトとデータで接続するというのは、バリュープロポジションの議論や整理と同じ。僕もジャフコさんとの取り組みの中で後々気づいたんですが、「実はお互いに同じところを見ていたんですね」という話があって面白かったです。


―今回の取り組みは、経営層だけではなく全社的な巻き込みが必要だったと思いますが、どのように進められたのでしょう。

土岐 顧客へのバリュープロポジションを具体化する際、我々経営陣だけの想いでなく会社としての想いかどうかは大事なポイント。例えば、プロダクトに直接関わるメンバーからは中長期的な視点で少し夢っぽい話も出てきますが、営業メンバーはもっと目先でできることを重視しますし、オペレーションメンバーは目の前のトラブル対応を優先する。職種によっても時間軸や着眼点が全く異なります。会社やプロダクトがどんどん変化していく中で、メンバーの想いをひとつに束ねて「社外に発信すること」と「社内で信じられていること」を一致させるのにとても苦労しました。

そこで、彌野さんとのミーティングには幅広い職種のリーダーに参加してもらい、その場で大きな方向性と策を決めていくようにしています。相当意図的に議論や意思決定を進めて、下のメンバーにも通すということを徹底することで、社内の巻き込みはかなりできていると感じています。


 
弊社にはもともとミッション・ビジョン・バリューがありましたが、コーポレートブランディングを単純に「ブランディング」ではなく「会社が今後どうなるか」という部分まで考えた時に、内容が少しズレてきているなと感じていたんです。そんな中、彌野さんから「パーパスによって組織を束ねる」という考え方があると伺い、社員の想いも汲み上げながらパーパスを設定しました。それに伴い、会社のロゴ等のCIやホームページも社内外に協力してもらいながら大幅にリニューアルしました。可能な限り幅広いステークホルダーに関与いただきながらプロジェクトを進めた形です。


「採用」「資金調達」「事業」「組織」面での成果

―今回の取り組みの成果についてもお伺いできればと思います。まずは星様が重視されていた採用面から。

 採用面では如実に効果が出ました。以前はパッションドリブンなメッセージを発信していたので、事業内容への共感性が強い人が集まる傾向にありましたが、「我々は社会的にいいことをやりつつ、経済性も成長性も求めているスタートアップである」というブランディングをしたことで、共感性があって事業成長をドライブするようなスキルセットも非常に高い方々に応募いただけるようになりました。具体的には外資系投資銀行や外資系コンサルファーム等、スタートアップではなかなか採用しにくい人材が興味を持ってくれて、内定承諾率も格段に高まっています。

ブランディングはゼロイチではなく積み上げ式のものなので、エグゼキューションして初めてじわじわ変わり始めるものではありますが、実際にローンチして3〜6か月後には成果を実感できた印象です。


―採用以外の部分ではいかがでしたか。

 資金調達面ですと、彌野さんが仰っていたようにエクイティ・ストーリーとマーケティングは非常にオーバーラップする部分があると感じました。彌野さんとディスカッションさせていただくことで、CFOという立場での事業の解像度が上がり、投資家の方々への訴求ポイントも明確になって的確な説明ができるようになったと思います。


土岐 
私からは事業面や社内面についてお話しします。『ルクミー』というサービスのブランド・エクイティを固めたことにより、昨年の夏頃からお客様に対するメッセージを全部統一して、保育園に関わるオンラインイベントを継続してきました。これまで累計で10,000名以上の保育園関係者に参加いただけるようになり、業界を巻き込むメッセージの出し方や伝え方ができてきている印象です。

また、そこから派生して、『ルクミー』のブランドを皆で守り育てるという社内プロジェクトが立ち上がり、社内のメンバーたちもブランドを咀嚼して具体化していく動きが出てきました。それらの想いを体現したプロダクトを今夏リリースできたため、今後はより大規模な販促施策等を通じて一層グロースを目指していきたいと考えています。これまで2年近くBloomさんと取り組みを続ける中で、自社のマーケティングやブランディングに関する軸ができてきたので、社内外関係者の意思統一がしやすくなっていると思います。


―ユニファ様の取り組みの成果をお二人はどうご覧になっていますか。

佐藤 僕も毎月役員会に参加させていただいていますが、マーケティング施策の洗練度は確実に上がってきていると感じます。今年6月にシリーズDとして40億円の資金調達を公表されましたが、保育業界を良くしたいという土岐さんのパッションへの共感、DXが遅れている業界構造全体を変えることによる潜在的マーケットのポテンシャルを、ファクトとデータで接続し、投資家への訴求ポイントを明確にした今回の取り組みが功を奏した部分も大きいのではないかと思っています。


彌野 これまでの期間は成長戦略を作るためのいわば「机上の話」が多かった。そのため効果が実感しにくい部分もあったと思うのですが、今日お二人からお話を聞いて癒されています(笑)。このペースでこれだけの金額の資金調達ができるのは、やはり市場からの期待値の大きさの表れ。その一部に貢献できているとすれば大変嬉しいですし、期待値MAXのところからどう形にしていくかが今後のフェーズだと思っています。


―土岐様・星様にとって、支援パートナーであるジャフコとBloom社はどのような存在でしょうか。

土岐 佐藤さんとは前職の頃から10年以上のお付き合い。私の意志や想いをしっかり理解した上で、失敗しそうなポイント等を的確に見抜いてくださるので、本当の意味で伴走いただいている気持ちです。ジャフコさんにはシリーズAから入っていただきましたが、ビジネス面で非常に大きな心の支えになっています。

また、我々がマーケティング・ブランディングの方向性や施策に悩んだ時、最後の最後に腹決めする際にアドバイスいただくのが彌野さんです。これまで一緒に積み上げさせてもらったことをベースに、今後も挑戦を続けていきたいと思っています。


 
お二人とも、心から信頼しているプロフェッショナルパートナーです。豊富なスキルやご経験から的確なアドバイスをいただける点。ともすれば逃げもできるアドバイザーという立場ながら、リスクを取ってでも「私はこう思います」とリコメンデーションを出してくださる点。そして、ハードシングスに直面するたびにお互いに腹を割って包み隠さずディスカッションできる点。そうした点に非常に感謝しています。


マーケティング・ブランディングの本質とは

―最後にお一人ずつ、スタートアップにおけるマーケティング・ブランディングの重要性について改めてメッセージをお願いします。

土岐 マーケティング・ブランディングの本質は「人の心をどう動かすか」。お客様、投資家、採用候補者、それぞれの立場に立ってメッセージを伝え続けることだと思っています。正解がわからない中で勝負し続けるしかないんですが、その際に重要なのが、仮説と挑戦と失敗を繰り返しながら小刻みに調整していくこと。それが最終的には社会変革という大きな挑戦に繋がると思っているので、挑戦をやめずに歩み続けることが重要だと思います。


 
全ての企業活動の本質は、基本的に「持続可能な会社を作って企業価値を最大化していく」こと。そのひとつの施策がマーケティング・ブランディングであり、それらは手段です。目的と手段を混同せず、マーケティング・ブランディングをする目的は何かという部分の解像度を上げる。そして、それを定性的な側面だけでなく定量的な側面でもきちんと説明できるようにすることが重要だと思います。


佐藤 マーケティングやブランディングは特別なことではなく、自社の特徴が何か、お客様は誰か、バリュープロポジションは何かを整理していくこと。そこを際立たせることで、よりレバレッジをかけられる有効な手立てになると考えています。また、自社の考えだけだと偏りますので、客観的視点を交えて思考整理する機会を得ることも重要です。タイミングとしては大型調達前後が良いかと。ユニファさんがBloomさんに入ってもらったのも、ちょうどシリーズCを終えたタイミングでした。ある程度の資金がある中でどんな施策を打てば投資対効果が最大化するかを検討していくことが重要だと思います。


彌野
 マーケティングというのは本来、多大な広告をせずとも事業が伸びる状態をどう作るか。そのために重要なことを改めて整理すると、1つ目は「顧客視点」。自分のパッションややりたいことに加えて顧客視点を重ねることが必要です。

2つ目は、「たられば」ではなく「必然性」。「もしこうなったらうまくいく」ではなく、「お客様にこう伝えると売れる、収益が上がる、喜ばれる」という必然性をきちんと作っていくこと。ブランディングとは、起業家の想いを聞いて、それをカッコよく見せることではありません。

そして3つ目は、最初に申し上げた「ファクト」と「データ」。自分の資金でやる分にはパッションだけでもいいのかもしれませんが、投資家は当然ながら冷静に数字で見てきます。他人を巻き込んでやるのであれば、自分の事業が伸びる見込みをいかにロジカルに数字で説明できるかがカギになりますので、「ファクト」と「データ」を揃えることが大切になります。