JAFCOの投資とは

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スタートアップ9社における組織カルチャー形成の取り組み
スタートアップ9社における組織カルチャー形成の取り組み

2021年1月にスタートした「JAFCO HRコミッティ」。ジャフコの投資先企業でHR戦略に携わるメンバーが、各自話したいテーマを持ち寄りオンラインでディスカッション。スタートアップにおけるHRに関する悩みやナレッジを共有し、現場のリアルな知見を発信していきます。

第4回のテーマは、「スタートアップにおける組織カルチャー形成の取り組み」。各社がカルチャー形成、浸透をどう考え、どんな課題のもとで何に取り組んできたのか。2チームのグループディスカッションで、共通する悩みを共有し合いました。

【ディスカッションテーマ】
・会社としての組織カルチャー形成の優先度やスタンス
・組織カルチャー形成においてどういう課題があるか
・課題感に対しての施策・工夫 成功例と失敗例
・コロナ禍において工夫している点

【プロフィール】(敬称略)

ディスカッションチーム別<A
<ジャフコ投資先HR責任者>

株式会社Synspective HR Manager 芝 雄正(しば・ゆうと)
京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻 修士課程修了。2014年より人材事業を手掛けるスタートアップに参画し、人材採用コンサルティング、メディア事業に従事。2015年WASSHA Inc.にて事業企画を経て、エンジニアに転向しタンザニアへ駐在。ソフトウェア開発および事業オペレーション改善をリード。2018年より衛星画像ソリューション開発のエンジニアとしてSynspective創業期にジョイン。現在は主に人材採用、組織開発を担当。


株式会社Zeals People&Culture 責任者 笹原 哲(ささはら・とおる)
一橋大学商学部卒業後、リクルート、ワークスアプリケーションズ、AbemaTV等の日本有数のメガベンチャーで営業から新規事業開発、エンジニアリング、ソリューション開発、海外拠点でのマネジメント等の幅広い事業分野で重要な役職を歴任し、2020年8月よりジールスに参画。ジールスでは、ビジネス部門からプロダクト開発の責任者を経て、現在人事責任者として事業成長を躍進させる組織や文化づくりに従事。


Baseconnect株式会社 コーポレート部門 HRチーム マネージャー 高橋 秀行 (たかはし・ひでゆき)
大手消費財メーカー、メガベンチャーやコンサルティング会社を経て、2014年に前職のHRTech系スタートアップへ参画。自社の組織開発に取り組むとともに、カスタマーサクセスマネージャーとして多数企業の組織開発をサポート。2020年にBaseconnectへ参画。コーポレート部門HRチームのマネージャーとして、採用、制度設計やMVV推進等を統括。


ACALL株式会社 HR General Manager 佐藤 鉄平 (さとう・てっぺい)
慶応義塾大学商学部卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)入行。東京・大阪で法人営業に従事。コンサルティング会社を経て、リクルートエグゼクティブエージェントへ。経営層向けの人材紹介に従事。その後、人事へ転身。KPMGコンサルティング、日本タタ・コンサルタンシー・サービシズにてHead of Talent Acquisitionを経験し現在に至る。

<ファシリテーター>
ジャフコ グループ株式会社 西中 孝幸(にしなか・たかゆき)
2006年新卒でジャフコに入社。入社後は投資部門に配属され、投資業務を2年経験。2008年からファンド組成・資金調達・投資家対応業務に従事。2013年に日本M&Aセンターに出向し、M&A仲介業務で5件のディールを担当。2014年からビジネスディベロプメントGにて、投資先支援(営業、マーケティング、採用)に携わる。

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ディスカッションチーム別<B
<ジャフコ投資先HR責任者>

株式会社Kyash People Team Lead 岩谷 真衣(いわや・まい)
大学卒業後、渡豪。現地の日系メディアにて、編集者やメディアコーディネーターを経験。その後、現地のヘッドハンティング型人材紹介会社にて金融業界に特化したリクルーターとして外資系、日系企業の採用に携わる。現在は株式会社Kyashにて、採用、人事企画、労務体制構築等を担当。


ユニファ株式会社 コーポレート本部人事総務部 部長 長谷川徹(はせがわ・とおる)
コンサルティングファームにて、教育・研修分野を中心とした人事コンサルティングを経験後、総合エンタテインメント企業へ転じる。新規事業、ベンチャー投資を担当後にコールセンターを中心としたBPO事業を手掛ける子会社にて管理本部取締役に就任。子供を授かったことをきっけかに、ユニファ株式会社へ参画。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科兼任講師も務める。


株式会社スリーシェイク HR本部プランニングチーム 中村美幸(なかむら・みゆき)
大手医療機器メーカー、製薬メーカーでの営業職に従事した後、ソーシャルゲーム/バックオフィス支援事業スタートアップにてバックオフィス全般の業務を経験し、2021年にスリーシェイクに入社。現在は採用、制度構築、組織開発を担当。


OLTA株式会社 VP of HR 唐澤 一紀(からさわ・かずのり)
信州大学経済学部経済学科卒業後、株式会社リクルートスタッフィングで人事、新規事業の立ち上げ等を担当後、株式会社スクウェア・エニックスの人事を経験し、直近では、HEROZ株式会社、株式会社bitFlyer、現職とtech系スタートアップ人事として採用、労務、制度構築、MVV浸透等の全般を担当。


株式会社WACUL HRグループ部長 池田 真実(いけだ・まみ)
大学卒業後、新卒で入社した航空会社が経営破綻し、以降「強い組織」づくりに強い関心を抱く。単身渡英しロンドン本社のDMCに転職し、グループ会社全体の組織改編プロジェクトの1つであるオフ・ショア(東南アジア)でのSSC立ち上げプロジェクトに参画。2年で100人規模の組織成長へ貢献。帰国後は人事不在ベンチャーで人事立ち上げに携わり、現在はHRグループ部長として採用、労務、評価、社内イベント等の人事業務全般に携わる。

<ファシリテーター>
ジャフコ グループ株式会社 金沢 慎太郎(かなざわ・しんたろう)
株式会社ワークスアプリケーションズに入社。2017年にエッグフォワードに参画。執行役員に就任し、多数企業における組織課題・人材課題に取り組んできた。現在はジャフコにて、投資先のバリューアップを行うべく、スタートアップの組織・人材開発支援に従事。

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チームA【Synspective×Zeals×Baseconnect×ACALL &JAFCO】

西中 組織カルチャー形成に紐づく各社の考え方は様々だと思います。経営者の価値観によっても異なり、取り組んできた施策にもうまくいったこと、いかなかったことがあるのでは。活用事例を共有しながら、リモート環境下の強い組織作りに向けて、皆さんの学びに繋げられたらと思っています。


 Synspectiveでは、創業当初から半年に1回の全社合宿を、今ではオンライン全社会議に切り替えて実施しています。組織カルチャーに関わるメッセージやこの部門にこんな人材が足りていないといった話も、そこで議論してきました。

加えて、10人未満のチーム単位でCEOとディスカッションする「CEOオフィスアワー」を半年で全チーム回るように実施しています。その中でCEOとメンバーによる1on1の30分面談も設けています。CEOは現場理解度を深められますし、メンバーは現場の課題から個人的な相談事まで自由にCEOと話すことができます。そんな機会があることが、エンゲージメントを高める小さな要素になっているかもしれません。

CEOは、「どんなに忙しくても、時間を作って一人ひとりの従業員のことをよく知りたい」という想いが強く、必要な時間として優先度高く確保しています。


笹原 Zeals (ジールス)は、CEO・清水正大のビジョンと描くストーリー、それを実行し体現していくメンバーのやりきりを軸に組織のカルチャーが形成されております。私が入社してから、どういうカルチャーにすべきかと具体的な議論がされてきたわけではありません。

ただ、毎週月曜に行われる全社員参加の朝会(現在はオンライン開催)や、毎月の月初会(ビジネスから開発、コーポレート部門まで各ボードメンバーが2時間かけて情報共有をし合う会)でのトップからのメッセージで、大事にすべき価値観が担保されているのかもしれません。

また、Zealsが誇る"おもてなしの精神"(OMOTENASHIP)に基づく様々な施策を運用しており、オンボーディング施策では、CEOやCOOが、入社メンバーとプライベートを含めてじっくり話す時間を設けたり、メンバー同士がリレー形式で感謝を届け合う施策等、社内で大事にする考え方がみんなでシェアされる仕組みを作ったりしています。上記の施策も大事にしつつ、カルチャーづくりの観点でとくにコミットしているのは採用時で、マネージャーポジション以上の採用では経営ボードがすべての面接に出ます。組織カルチャーと合わない人はどんなに素晴らしい経歴や技術があっても採用しないと徹底されています。


高橋 BaseconnectはZealsさんとは逆かもしれません。CEOの國重は自我を強く押し出さないタイプ。どんどん権限委譲するスタンスで、事業目標パーパスを達成するために必要なカルチャーは何かと考えています。創業時の内発的な想いから生み出された言葉も、これからはその所有者は代表ではなく社員でありたいという想いがあり、ちょうど変えていくフェーズにあります。

カルチャーとは何か、バリューやクレド、行動指針等、世の中にはいろんな言葉があふれていますが、Baseconnectとしてはどう定義すべきか。CEOと僕とで、週次の定例ミーティングの場で議論を重ねています。現場とのブレスト的なやり取りも大切にしつつ、ある程度のたたき台があった方が、ブレストしやすい」という声もあるので、ドキュメントベースで、ある程度具体化して出すようにしたほうが、効果的だと感じています。ただ、今は目標必達の成果重視フェーズでもあるので、バリューを意識しすぎて目標達成への意識が相対的に落ちないよう、各チームのマネージャーにとってやりやすいよう、ある程度自由に動いてもらっています。


西中 なるほど。スタートアップにおいて、成果と行動指針のバランスを取るのは難しいのでしょうか。


高橋 Baseconnectの場合、成果とバリュー整合性とれているのですが、思い切って意識を成果に寄せるために一時的にバリューへの意識を落としたりすることも、フェーズによっては必要だと思っています。


 すごくよくわかります。Synspectiveでは、社員が100人に近づいた2020年に行動指針の見直しをしました。10か月ほどのプロジェクトで、メンバーインタービュー等も行い会社全体の行動指針をCredo(クレド)」として定めました。チームごとに使うより具体化された行動指針は「Code(コード)」として策定してく予定です。今はまずCredoを全員が認識するよう半年かけて浸透を進めています。

評価制度では成果と業務を通して発揮したスキルが評価対象で、行動指針を直接反映させていません。一方でスキルの一部は行動指針を元に設定しており、間接的に反映させるようにしています。


佐藤 評価制度に行動指針を反映すべきかどうかは、難しいテーマですし、企業フェーズによって大きく異なりますよね。ACALLは社員50人と小さい組織なので、一人ひとりの気持ちにフォーカスした施策に力を入れています。その一つが、社員の試用期間が明け、本契約になるタイミングでのメッセージングです。試用期間が満了するとき、本人は「今日で試用期間が終わり、明日からが正式に社員になる!」と意識していますが、会社側はとくに何もアクションを起こさないケースが大半です。

そこで、満了した日には、CEOと部門の担当役員、採用マネージャーの3者から「おめでとう」「ありがとう」と伝える1on1を実施しようと考えています。これがエンゲージメントにどう影響するか、具体的にどうワークするかは未知数ですが、こうした小さな施策を積み重ねて、「見守っているよ」というシグナルはきちんと出す組織でありたいと思っています。


西中 感情面に刺さる施策ですね。組織カルチャー形成において、コロナ禍の変化をどう感じていますか。


佐藤 ACALLはリモートワークを標榜していた会社でしたが、それでも限界は感じています。去年、対面で決起会をしたときの盛り上がりを見て、オフラインとの組み合わせは大事だと実感しました。事務的な話はオンラインで問題はないけれど、会社はどのタイミングで上場を目指しているのか、海外事業をどう仕掛けるのかといった方向性の話は、オフラインじゃなければ難しい。使い分けが大事になるでしょう。オフィスに求めるものも変わってきて、リアルの場は「憩いの場」「集う場」「議論する場」となり、それ以外はリモートワークになっていくと思います。

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チーム
BKyash×ユニファ×スリーシェイク×OLTA×WACUL &JAFCO

岩谷 Kyash(キャッシュ)において「組織カルチャー形成」は、これまで優先度が低くて手を付けてこられなかったテーマの一つです。ミッション・ビジョン・バリューは明確に定められていますが、社員80人を超えた今、「キャッシュと言えばこの人」というイメージが社内でもバラバラになっている。"キャッシュらしさ"がしっかりと定まっていないという課題があります。


長谷川 ユニファには、会社の存在意義を示す「パーパス」と、それを実現するために重要視する価値観である「バリュー」があります。ここ2年で社員数が150人前後と一気に増えて増え、リモートワークも進んでいるので、パーパス&バリューの浸透には気を使っています。ユニファの組織は3本部制で、ビジネス、プロダクト&デベロップメント、コーポレートの3本部体制です。前者2つはコロナ禍ということもあり、リモート勤務が中心。2020年4月以降に入社したメンバーとは、顔を合わせてのコミュニケーションがなかなかできていないので、パーパス&バリューをどう浸透させていくべきか試行錯誤しています。


中村 スリーシェイクでも、人がどんどん増えているので、長く在籍しているメンバーと、新しく入社したメンバーでの目線や価値観の違いも今後の課題です。

カルチャーは明文化されたものがありながら、浸透への取り組みができていません。優先的に進めたいと思いつつも、制度設計や組織開発でやるべきことも多く、うまくカルチャー浸透まで着手できていないのが現状ですが、マネージャー合宿の開催や行動指針の再定義等の取り組みを少しずつ進めているところです。


唐澤 OLTAは、カルチャー浸透の重要度を高く置いている組織だと思います。組織に関わる問題は正解がないものが多いので、それらの意思決定においてはミッションやバリューに紐づけて考えないと、経営陣との議論が着地しません。例えば、緊急事態宣言が出て、働き方をどうするのかも「バリューに基づいてこう考えよう」と話し合う。きちんと言語化して全社にも伝えていくことで、「うちの会社ではこの考え方が大事なのだ」と理解度を高めていきます。そうした社内普及活動を地道にやってきた感じですね。


池田 WACULでは、採用においてカルチャーマッチを重要視しており、人事評価制度にも行動指針の体現度を「パフォーマンス評価」として組み込んでいます。また、経営陣から全社向けにメッセージを伝えるときは、ミッションやビジョン、行動指針を引用し、伝えています。

何を軸に"浸透した"と言えるかは難しいですが、経営陣はカルチャーやWACULの価値について発信することの重要性をよく理解し、積極的に向き合っていると感じます。

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金沢 経営判断には正解がないので、ミッション・ビジョン・バリューに紐づけると同意を取りやすいという観点はありますよね。意思決定の基準があると、社内の納得度が高まりやすいですね。


岩谷 そうですね。例えば、コロナ禍により出てきた「オフィスをどうするか問題」では、それぞれがどう意思決定をしたのか、ミッション・ビジョン・バリューとの紐づけ方を皆さんにお伺いしたいです。


唐澤 OLTAでは、バリューで説明して現時点では「週2出社」を決めました。プロフェッショナル同士が強みを発揮して助け合う"Orchestration(オーケストレーション)"というバリューを体現しようとすると、オンラインでは何に躓き困っているか気づけない。そのためお互いの顔が見えることも結構大切で、ゆえに一定の出社数が必要になるだろう、と着地しました。今はチームごとに出社する曜日を決めるチーム出社を続けています。


池田 WACULでは、緊急事態宣言下は原則フル・リモートワークですが、生産性最大化のため、必要であれば出社OKというルールにしています。生産性を高めるために出社が必要なケースとしては、例えば紙でないと出来ない作業や、議論を尽くし会議内で迅速な合意形成を得る必要がある場合です。「この会議のこのアジェンダはリアルの方が生産性は上がる」と判断したのであれば、各グループの判断で出社OKになります。この方針の決定時も、経営陣からのメッセージには、行動指針である「変化の波に乗り続ける」や「千倍速で進む」等が引用され、全社ポジティブに日々の変化に対応出来たと思います。実際、去年から1年以上続けていますが、生産性や売上等の目に見える業績に大きな差異はありませんでした。


中村 スリーシェイクは、2021年5月に広いオフィスに移転しました。リモートワークを経験した上で、「社内でコミュニケーションを取りながら開発したい」というエンジニアの声が寄せられたためです。リアルでのコミュニケーション・リモートでのコミュニケーションのハイブリット型の労働モデルで、スリーシェイクらしい濃いコミュニケーションを実現していきたいという、代表の吉田の想いからコロナ禍での拡張移転を決めました。広さがあればソーシャルディスタンスを保って安心して仕事ができますし、出社したい人にとっては生産性が上がります。リモートワークももちろんOKで、チームや個人の判断で、リモートと出社を組み合わせています。

ミッション・ビジョン・バリューとの紐づけはなく、あくまでもリアルでのコミュニケーションが取れる場を提供し、メンバーの働きやすさに寄り添いながら事業の意思決定を加速させていく観点で判断しました。


長谷川 ユニファは、コーポレートは業務上の必要性もあり、チームに寄りますが出社を中心としつつリモートも適切に活用、プロダクト&デベロップメントはリモートが原則、ビジネスは曜日を決めて出社と、部門ごとに違います。基本的にはアウトプット・パフォーマンスが出ていれば良いというスタンスですが、組織全体でIPOを目指すフェーズの今、その会社全体の熱量がリモートではなかなか伝わらない。出社とリモート、どっちが良い悪いという話ではなく、これから人事として取り組むべき課題だなと思いますね。


唐澤 組織カルチャーの議論で難しいのは、例えば何をゴールに「バリューが浸透した」と言えるのか、定義が曖昧になりがちなところですよね。


金沢 私の経験上、「社内用語の動詞として飛び交う」というのは大事なポイントかなと思います。前職のワークスアプリケーションズはカルチャーが強い会社で、ワークスウェイという行動指針の言葉が、社内で日常的に使われていました。「今の意思決定は"他責NG"じゃない?」とか、「"スピードイズパワー"になっていないよね」とか。ネガティブフィードバックをするときでも、「仕事が遅い」と言うときついけれど、「スピードイズパワー」と行動指針のワードに紐づけられると言いやすい。そんな利点もありました。


池田 確かにそれはありますよね。WACULでも「千倍速」等の行動指針が、スラックで飛び交いますし、リアクションでも多用されています。


金沢 ミッションやバリューは、普通の言葉じゃない方が良いなと思います。「千倍速」も、普段なかなか使わないですよね。あえてそうした言葉を設定すると、「うちの会社のワードを使っている」感が増すのではないかと思っています。


岩谷 あとは、行動指針をどれだけ体現できているかが評価の目線合わせに使われると、社内浸透が進んでいる一つの目安になるのではないでしょうか。


唐澤 そうですね。OLTAでは、1on1やチームのミーティングでどれくらいバリューを使えているかを振り返り、変化を見ています。仕事で日常的にバリューが言葉として出てきているかは重要だと考えています。


池田 WACULでは2019年からWACUL式1on1を始めて、当時は1on1満足度調査や、所属異動の際の人事面談を実施しています。今後取ったデータをどう改善活動に活用していくかが、また新たな課題です。


長谷川 ユニファはバリューを具現化する「リーダーシップ像」を、経営陣とマネージャー陣が一緒に作り始めています。CEOが決めればいいのでは?という意見もあるのですが、重視したいのは決めるまでのプロセスです。現場からも色々な意見が出てくると、トップの想いと現場との認識や温度差といったズレが見えてくる。それを調整しながらやっていくことが、難しいけれど重要だと思っています。


唐澤 バリューの浸透は、経営者の考えに大きく左右されますよね。OLTAは、トップが「人で統治するより法治国家にしたい」という考えを持っています。自分がすべてを見ることはできないのだから、社員全員がミッション・バリューに従って仕事する状態にしたい、と考えている。だから、カルチャー浸透の優先度が非常に高いのだと思います。


池田 会社として方向性を定めないと迷子になってしまうし、人を束ねて強くするためには、どうスタンスをとって、何を宣言するかが大事だと思います。国における"憲法"の様に、絶対であり、この原理原則は全員に理解されていて、業務を進めたり評価をしたり、様々な場面で自然と出てこないと組織は強くなれないのではないかと思います。

WACULは全社的な方針を決める際は、経営者全員で合意形成するプロセスは欠かせません。HR部門を含め、議論をつくしてみんなで決めようと徹底しています。


金沢 人事はどう関与すべきかというのも重要なテーマですね。人事は、カルチャー浸透を実現するのがミッションか、カルチャー形成から関与すべきなのか...。


唐澤 ここもまた、会社のスタンス、人事サイドのスタンスに寄りますね。作るのは経営にまかせて、浸透だけ頑張りますというのも人事もいますし、経営と人事の両方に軸足置くCHROや人事責任者となれば両方に関与していくべきかもしれない。人事の守備範囲をどこまで置くかによって変わると思います。



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チームのディスカッションを終えて...

金沢 2チームに分かれてのディスカッションという初めての試みで、「カルチャー浸透とは何をゴールにすべきか」「カルチャー形成に人事がどこまで関わるべきか」等、新たに議論したいテーマがたくさん生まれました。

全体でのノウハウ共有も大事ですが、個社ごとに意見を交わす"個別相談"の機会がHRコミッティから生まれると良いなと思っています。

この縁から、課題解決が進むことがHRコミッティの価値だと思っているので、皆さんでどんどん繋がってほしい。そう改めて感じました。今回も有意義な議論をありがとうございました。